「メタゲーム」を編集中
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==解説== | ==解説== | ||
− | + | 簡単に説明すると、[[トーナメント]]で選択されている使用[[デッキ]]や使用[[カード]]、[[プレイング]]など(これらの傾向を俗に'''環境'''とも呼ぶ)を考慮した上で、それらに対して有利なデッキ、カード、プレイングなどを選択することである。より簡単にジャンケンで例えるなら「グーを出す人が多い(多そう)だから、自分はパーを出す」という選択である。 | |
トーナメントでは何人もの[[対戦相手]]と戦うことになる。この場合、「どんなデッキ相手でもそこそこに戦えるよう構築したデッキ」も悪くはないが、それ以上に「大会で多く使用されているデッキ相手に有利となるよう構築したデッキ」の方が勝率を上げやすい。そういったことを考え、勝率が高くなるようにデッキ([[サイドボード]]を含む)を構築するのがトーナメント指向のプレイヤーの基本となっている。[[リミテッド]]においてもこれは当てはまり、その場合は「環境」の定義の中に使用[[カード・セット|セット]]全体の[[カードプール]]も加え入れて考慮する。 | トーナメントでは何人もの[[対戦相手]]と戦うことになる。この場合、「どんなデッキ相手でもそこそこに戦えるよう構築したデッキ」も悪くはないが、それ以上に「大会で多く使用されているデッキ相手に有利となるよう構築したデッキ」の方が勝率を上げやすい。そういったことを考え、勝率が高くなるようにデッキ([[サイドボード]]を含む)を構築するのがトーナメント指向のプレイヤーの基本となっている。[[リミテッド]]においてもこれは当てはまり、その場合は「環境」の定義の中に使用[[カード・セット|セット]]全体の[[カードプール]]も加え入れて考慮する。 | ||
− | たとえば、[[赤]]以外には強いが赤には弱いデッキが、[[赤の防御円/Circle of | + | たとえば、[[赤]]以外には強いが赤には弱いデッキが、[[赤の防御円/Circle of Protection: Red]]をいれて赤ともそこそこ戦えるようにしたとする。この選択は、対戦相手の使用するデッキが予測できない場合には一応合理性はある。しかし、そもそも大会参加者の中に赤デッキを使用している人がいないことが予測できるなら、赤の防御円は全くの無駄カードになってしまうので、これを抜いてより有効なカードに差し替えるほうが効果的である。逆に、赤が多数を占めると予測出来るなら、元から赤に強いデッキを使う、またはそのデッキに赤の防御円を投入する方がより高い戦果をあげられる可能性が高い。 |
*たとえば、青いデッキが多い環境の場合は[[島]][[土地渡り|渡り]]を活用できる[[フィッシュ]]が有効な選択肢になる。また高速[[コンボデッキ]]が多い環境なら、[[ビートダウン (デッキ)|ビートダウンデッキ]]にその対策を施すより、[[打ち消す|カウンター]]を満載した[[パーミッション]]などを選択する方が効果的なことが多いだろう。 | *たとえば、青いデッキが多い環境の場合は[[島]][[土地渡り|渡り]]を活用できる[[フィッシュ]]が有効な選択肢になる。また高速[[コンボデッキ]]が多い環境なら、[[ビートダウン (デッキ)|ビートダウンデッキ]]にその対策を施すより、[[打ち消す|カウンター]]を満載した[[パーミッション]]などを選択する方が効果的なことが多いだろう。 | ||
一方、赤の割合は少ないが、数回は対戦相手となることが予測できる場合、最初の選択はその大会において最も効果的といえ、メタに合致していると言いやすいだろう。 | 一方、赤の割合は少ないが、数回は対戦相手となることが予測できる場合、最初の選択はその大会において最も効果的といえ、メタに合致していると言いやすいだろう。 | ||
*ただしこの場合でも、環境の偏りが著しい場合、少数派との戦いは捨てて多数派との戦いにのみ特化するという戦略もありうる(例:[[ヴィダルケンの枷]])。 | *ただしこの場合でも、環境の偏りが著しい場合、少数派との戦いは捨てて多数派との戦いにのみ特化するという戦略もありうる(例:[[ヴィダルケンの枷]])。 | ||
− | + | メタゲームはプレイングと同等、あるいはそれ以上に重要である。[[デッキパワー]]が低いデッキでも、それがメタに合致していればその[[トーナメント]]で優勝を果たせることもあるし、逆にデッキパワーが高くとも[[メタる|メタら]]れればトーナメントの上位に残れないこともある。[[ネクロ]]全盛の[[世界選手権96]](通称[[ネクロの夏]])に、ネクロに強い[[白ウィニー]]「[[12Knights]]」を使った[[Tom Chanpheng]]が優勝したことや、[[日本選手権01]]における一大勢力であった[[ブルーオーブ]]がベスト8にも入れなかったことはその顕著な例といえる。 | |
− | + | また、環境が、極端に強く[[アンチデッキ]]すら存在しないデッキ一種で占められていたとしても、そのデッキ同士の[[ミラーマッチ]]という形でメタゲームは存在する。「[[MoMaの冬]]」たる[[The Finals98]]で、[[小宮忠義]]は[[赤マナ]]を散らして[[紅蓮破/Pyroblast]]や[[火の玉/Fireball]]を入れるのみならず、サイドボードに[[解呪/Disenchant]]や[[ヨーグモスの意志/Yawgmoth's Will]]まで投入した「対[[MoMa]]用MoMa」を使用した。結果、MoMa一色の大会において小宮は優勝を遂げる。 | |
− | + | *メタゲームは主にトーナメントで用いられる用語であるが、[[カジュアルプレイ]]においてもメタという概念がないわけではない。たとえば周囲にクリーチャー主体のデッキが少ないから、クリーチャー[[除去]]を少なくしておくということも立派なメタである。もっとも、身内における過度なメタは[[対人メタ]]と呼ばれ、嫌われる要因となるので注意。 | |
− | * | + | *メタゲームに勝ったとしても、試合に勝てなかったりメタったデッキに当たらないこともある(→[[マーフィーの法則]])。 |
− | + | *接頭辞 meta- は「高次の」「変化した」といった意味。[[プレイング]]などが盤上における仮想世界での駆引き(ゲーム)なら、メタゲームは盤上に立つ前、(仮想世界より高次な)現実世界で行われる駆引きといえる。もっともマジックにおいては単に「仮想敵」とか「周りや世間で流行っているデッキ」、「それらに勝てるようなデッキ構築」という意味でも使われる。 | |
− | メタゲームは主にトーナメントで用いられる用語であるが、[[カジュアルプレイ]]においてもメタという概念がないわけではない。たとえば周囲にクリーチャー主体のデッキが少ないから、クリーチャー[[除去]] | + | |
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− | *接頭辞 meta- は「高次の」「変化した」といった意味。[[プレイング]] | + | |
==メタの変遷== | ==メタの変遷== | ||
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===例2=== | ===例2=== | ||
− | #「[[パララクス補充]] | + | #「[[パララクス補充]]が流行。あまりにも強いため、それ以外のデッキが駆逐される」 |
− | # | + | #「パララクス補充に強い[[トリニティ]]が開発され、環境を支配しはじめる」 |
− | #* | + | #*パララクス補充は、キーカードのほとんどが4[[マナ]]。トリニティはそれが揃う前に[[マナ加速]]から[[すき込み/Plow Under]]を打てるため優位に立てた。すき込みを序盤に打てる点は、パララクス補充に対してのみならず、当時の環境に大きく有効だった。 |
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#「アンチ・トリニティデッキとして[[アングリーハーミット]]が台頭する」 | #「アンチ・トリニティデッキとして[[アングリーハーミット]]が台頭する」 | ||
#「増えたアングリーハーミットに有利な[[アングリーノンハーミット]]が台頭」 | #「増えたアングリーハーミットに有利な[[アングリーノンハーミット]]が台頭」 | ||
− | # | + | #「アングリーノンハーミットを食えるパララクス補充が復権」(最初に戻る) |
− | + | 以上がパララクス補充からアングリーハーミットを巡るメタの変遷である。ただしこのメタが一周した時点で開催された[[世界選手権00]]では、「補充もアングリーハーミットも食える」デッキとして登場した[[ティンカー]]([[スーサイドブラウン]])が登場したという点で一周する前とは決定的な違いがあり、このデッキは圧倒的な強さを見せつけて世界チャンピオンに輝いた(詳細は[[スーサイドブラウン]]の項を参照)。このようにメタが一周したといっても一周前と完全に一致しているとは限らず、一周した過程を教訓に新たな「第三勢力」が登場して猛威を振るうこともある。 | |
− | * | + | *余談ではあるが、パララクス補充自身は、ミラーマッチ対策として[[サイドボード]]に[[時間の名人/Temporal Adept]]を投入することで、パララクス補充をメタっていた。デッキの構造上3マナ以下でクリーチャーを除去できないために、延々と毎ターン土地を戻し続けて4マナ揃えられなくするという、パララスク補充相手でしか成立しない「完全[[ロック]]」が存在したからである。 |
*また、メタが一周した世界選手権00では元祖たるトリニティもベスト8に入っている。 | *また、メタが一周した世界選手権00では元祖たるトリニティもベスト8に入っている。 | ||