変異種/Morphling

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往年の[[コントロール (デッキ)|コントロールデッキ]]の[[フィニッシャー]]として使われ続けた、[[青]]の優良[[クリーチャー]]。
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往年の[[コントロール (デッキ)|コントロールデッキ]]の[[フィニッシャー]]として使われ続けた、[[青]]トップクラスの[[クリーチャー]]。
  
==解説==
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5つもの[[起動型能力]]を持ち、またそのそれぞれが重複せず、攻防にバランス良く働くものであるため、[[マナ]]があれば相当に性能が高くなる。マナさえあれば、0/(6+α)から5/1まで自由に変われる「[[警戒]]、[[飛行]]、[[被覆]]」である。
  
5つもの[[起動型能力]]を持ち、またそのそれぞれが重複せず、攻防にバランス良く働くものであるため、[[マナ]]があれば相当に性能が高くなる。マナさえあれば、擬似的な「5/(5+α)、[[警戒]][[飛行]][[被覆]]」である。
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通常コントロールデッキの[[エンドカード]]は終盤十分な[[土地]]が並んだ後に[[戦場に出す]]ため十分な威力を発揮する。特にこれの収録された[[ウルザ・ブロック]][[マナ・アーティファクト]]等強烈な[[マナ加速]]カードが満載であり、[[青茶単]]などで猛威を振るった。
そして、[[マジック2010]]のルール変更に関する影響(殆どにおいて被害だろう)を色濃く受けたクリーチャーの内の一つ。
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*かつては4番目の[[能力]]で[[パワー]]を上げ、[[戦闘ダメージ]]を[[スタック]]に乗せてから5番目の能力で[[タフネス]]を上げて死なないようにする、というテクニックがあった。1マナで3/3を、4マナで4/4を、7マナで5/5を、それぞれ一方的に倒すことが可能であり、変異種の壊れっぷりを彩る要素の一つであった。もちろん、現在はこのようなことは不可能である。
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*[[スタック]]ルールに変わった[[第6版]]から3年ほどが全盛期だった。[[基本セット2010]]でのルール変更までは、4番目の[[能力]]で[[パワー]]を上げて[[戦闘ダメージ]]を[[スタック]]に乗せてから、5番目の能力で[[タフネス]]を上げて死なないようにする、というテクニックがあり、擬似的な5/(5+α)として振る舞えた。ルール変更により現在このようなことは不可能である。
*5番目の能力は、パワーが0以下の時にも[[プレイ]]できる。その場合パワーはマイナスの値となり、通常は0として扱うが、[[修整]]の計算の時はそのまま負の数として数える。よって、タフネスを7以上まで上げ、その後4番目の能力でパワーを6以上にする、というプレイングは不可能である。
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*5番目の能力は、パワーが0以下の時にも[[起動]]でき、その場合パワーは負の値となる。そのため、タフネスを7以上まで上げ、その後4番目の能力でパワーを6以上にする、という[[プレイング]]は不可能である。
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*先輩の[[虹のイフリート/Rainbow Efreet]]と比べて、1番目の能力が擬似的な警戒であり、4番目の能力によって[[ダメージレース]]でも有利である。虹のイフリートにも、[[対象]]をとらない除去に耐性がある、マナがかからない、といった長所があるが、多くの場合は変異種が支持される。
  
[[スタック]]ルールに変わった[[第6版]]から3年ほどは正に「[[マジック:ザ・ギャザリング|マジック]]最強のクリーチャー」と呼ぶにふさわしい強さだったが、[[アポカリプス]]で登場した[[魂売り/Spiritmonger]]を皮切りに、[[サイカトグ/Psychatog]]、[[タルモゴイフ/Tarmogoyf]]など低[[コスト]]ながら1対1でも負けてしまうクリーチャーも増えてきたため、現在ではそうは呼べなくなっている(同じ過去に最強のクリーチャーと呼ばれた[[マスティコア/Masticore]]にも通じる所がある)。トドメと言わんばかりに[[マジック2010]]のルール変更に際し戦闘ダメージにスタックを使用しなくなった為、使い勝手は大幅に悪くなった。それでも警戒(のような)能力と回避能力は強力で、[[エターナル]]でもブルー・パーミッションのフィニッシャーとなれば採用に検討の余地があるクリーチャーである。
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==関連カード==
エターナルのパーミッションにおいては、[[曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror]][[妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae]]と比較して劣るのは否めない為、3番手に位置するクリーチャーとなったのは時代の流れだろう。
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*[[ペミンのオーラ/Pemmin's Aura]] - [[エンチャント (キーワード能力)|エンチャント]]したクリーチャーに変異種と同じ能力を与える。([[スカージ]]
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*[[風を裂くもの/Windreaver]] - [[白青]]の多色になった亜種。[[警戒]]、+0/+1、[[P/T]]入れ替え、自己[[バウンス]]。([[ディセンション]])。
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*[[霊異種/AEtherling]] - 青単色の、最も直接的な[[リメイク]][[明滅]]、[[ブロックされない]]、+1/-1、-1/+1。([[ドラゴンの迷路]])
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*[[岸砕きの精霊/Shorecrasher Elemental]] - 青単色の亜種。[[大変異]](4)(青)、[[裏向き]]で戻る明滅、+1/-1か-1/+1。([[タルキール龍紀伝]]
  
*対戦相手のクリーチャー[[除去]][[カード]]次第で活躍度が変化する。被覆が無意味となる[[悪魔の布告/Diabolic Edict]]などの[[布告]]系が幅を利かせる様になってから活躍の場が減ってきた。それでももちろん、対象を取る[[剣を鍬に/Swords to Plowshares]]や個別[[火力]]頼みの相手には相変わらず強い。
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*[[Greater Morphling]] - [[銀枠|パロディ]]版。([[アンヒンジド]]
*先輩の[[虹のイフリート/Rainbow Efreet]]と比べて、1番目の能力が擬似的な警戒であり、4番目の能力によってダメージレースでも有利である。虹のイフリートにも、対象をとらない除去に耐性がある、マナがかからない、といった長所があるが、多くの場合は変異種が支持される。
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==関連カード==
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===サイクル===
*[[ペミンのオーラ/Pemmin's Aura]]により、ほとんどのクリーチャーが同様の能力を持つことができる。
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{{サイクル/変異種のメガサイクル}}
*[[マルチカラー]]になった[[風を裂くもの/Windreaver]]、[[色]]や[[能力]]が若干変わった[[炎異種/Torchling]][[茨異種/Thornling]]と、いくつかのリメイクが存在する。
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*[[アンヒンジド]]の[[Greater Morphling]]はこれのパロディである。重くなり、対象を取られるようになった代わりにこのカードよりもはるかにとんでもない能力を持っている。
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==ストーリー==
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'''変異種'''/''Morphling''は変身能力を持つ生き物。{{Gatherer|id=5863}}では[[トレイリア/Tolaria]][[アカデミー/Academy]]の魔術師に変身している。向かって左側、羽と尻尾がある方が変異種である。
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短編True Enough([[The Monsters of Magic]]収録)は変異種が登場する物語。
  
 
==その他==
 
==その他==
*通称「'''青い悪魔'''」。豊富な[[青マナ]]とともに、しばしば対戦相手を絶望させてきたものである。
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*通称「'''青い悪魔'''」。豊富な[[青マナ]]とともに、しばしば[[対戦相手]]を絶望させてきたものである。
*時の最強プレイヤー[[Jon Finkel]]は変異種で多くの成績を挙げたが、世代交代の象徴とも言うべき[[プロツアーニューオーリンズ01]]初日最終戦[[Kai Budde]]戦では、変異種による1本勝利の後、Kaiのサイドから変形投入された変異種によって2連敗で敗北。まさに守護神が悪魔に代わった瞬間であった。Kaiはその大会の決勝でも伝説として語り継がれる「最終[[引く|ドロー]]で変異種[[トップデッキ]]」で大逆転優勝を決めるなど、変異種と共に数々の栄光を掴んだ。
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*時の最強プレイヤー[[Jon Finkel]]は変異種で多くの成績を挙げたが、世代交代の象徴とも言うべき[[プロツアーニューオーリンズ01]]初日最終戦[[Kai Budde]]戦では、変異種による1本勝利の後、Kaiの[[サイドボード]]から変形投入された変異種によって2連敗で敗北。まさに守護神が悪魔に代わった瞬間であった。Kaiはその大会の決勝でも伝説として語り継がれる「最終[[引く|ドロー]]で変異種[[トップデッキ]]」で大逆転優勝を決めるなど、変異種と共に数々の栄光を掴んだ。
 
**日本人でも[[小宮忠義]]、[[石田格]]、[[堂山剛志]]など多くのスタープレイヤーが変異種により栄光を勝ち取っている。これらの変異種によるあまりにも劇的な活躍は、変異種が史上最強クリーチャーの1つに数えられる理由でもある。
 
**日本人でも[[小宮忠義]]、[[石田格]]、[[堂山剛志]]など多くのスタープレイヤーが変異種により栄光を勝ち取っている。これらの変異種によるあまりにも劇的な活躍は、変異種が史上最強クリーチャーの1つに数えられる理由でもある。
*このカードは本来新しい[[クローン/Clone]]を作ろうとしてデザインされた。しかし、クローンの膨大な[[エラッタ]]から、同じ落とし穴に嵌らないためにそれは実現しなかった。代わりに現在のように最初は何の芸も無い状態で[[場に出る|場に出て]]、後から能力を追加できる「自分の好きなクリーチャーを作れる」ようになった。
 
 
*これが登場した当初はスタックルール導入前だったために、このカードはそこまで注目されておらず、全盛期のような高い評価ではなかった。
 
*これが登場した当初はスタックルール導入前だったために、このカードはそこまで注目されておらず、全盛期のような高い評価ではなかった。
*{{日本語画像|Morphling~USG|イラスト}}は2体並んだ姿で描かれているが、どちらが擬態された本物なのかはよく見ないとわからない。左の方に羽と尻尾らしきものが見えるだろうか。
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*当初、[[ウルザズ・サーガ]]には[[クローン/Clone]]が[[再録]]される予定があり、変異種の{{Gatherer|id=5863}}は本来クローンのイラストとして発注されていたものである(このイラストは{{Gatherer|id=99|クローンのイラスト}}に基づいて描かれている)。しかし開発終盤でクローンの再録が見送られることになり、「イラストにふさわしく、なおかつ[[コピー]]を使わない[[多相の戦士]]」という制約で新たなカードをデザインする必要があった。最初は何の芸も無い状態で[[戦場に出る|戦場に出て]]、後から能力を追加したり[[サイズ]]を変えることのできる「望む姿に変身できるクリーチャー」というアイデアのもと、変異種が作られた<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/modern-times-2019-06-10 Modern Times]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0032598/ モダン・タイムス]([[Making Magic]] [[2019年]]6月10日 [[Mark Rosewater]]著)</ref>。
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==脚注==
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<references/>
  
 
==参考==
 
==参考==
 
*[[再録禁止カード一覧]]([[再録禁止カード]])
 
*[[再録禁止カード一覧]]([[再録禁止カード]])
 
*[[カード個別評価:ウルザズ・サーガ]] - [[レア]]
 
*[[カード個別評価:ウルザズ・サーガ]] - [[レア]]
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*[[カード個別評価:Vintage Masters]] - [[神話レア]]
 
__NOTOC__
 
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[[Category:ウルザズ・サーガの再録禁止カード|へんいしゆ]]
 
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[[Category:俗称のあるカード|へんいしゆ]]
 
[[Category:俗称のあるカード|へんいしゆ]]

2019年6月13日 (木) 03:50時点における版


Morphling / 変異種 (3)(青)(青)
クリーチャー — 多相の戦士(Shapeshifter)

(青):変異種をアンタップする。
(青):変異種はターン終了時まで飛行を得る。
(青):変異種はターン終了時まで被覆を得る。(このパーマネントは呪文や能力の対象にならない。)
(1):変異種はターン終了時まで+1/-1の修整を受ける。
(1):変異種はターン終了時まで-1/+1の修整を受ける。

3/3

往年のコントロールデッキフィニッシャーとして使われ続けた、トップクラスのクリーチャー

5つもの起動型能力を持ち、またそのそれぞれが重複せず、攻防にバランス良く働くものであるため、マナがあれば相当に性能が高くなる。マナさえあれば、0/(6+α)から5/1まで自由に変われる「警戒飛行被覆」である。

通常コントロールデッキのエンドカードは終盤十分な土地が並んだ後に戦場に出すため十分な威力を発揮する。特にこれの収録されたウルザ・ブロックマナ・アーティファクト等強烈なマナ加速カードが満載であり、青茶単などで猛威を振るった。

  • スタックルールに変わった第6版から3年ほどが全盛期だった。基本セット2010でのルール変更までは、4番目の能力パワーを上げて戦闘ダメージスタックに乗せてから、5番目の能力でタフネスを上げて死なないようにする、というテクニックがあり、擬似的な5/(5+α)として振る舞えた。ルール変更により現在このようなことは不可能である。
  • 5番目の能力は、パワーが0以下の時にも起動でき、その場合パワーは負の値となる。そのため、タフネスを7以上まで上げ、その後4番目の能力でパワーを6以上にする、というプレイングは不可能である。
  • 先輩の虹のイフリート/Rainbow Efreetと比べて、1番目の能力が擬似的な警戒であり、4番目の能力によってダメージレースでも有利である。虹のイフリートにも、対象をとらない除去に耐性がある、マナがかからない、といった長所があるが、多くの場合は変異種が支持される。

関連カード

サイクル

「~異種/-ling」のメガサイクル。いずれも起動コスト()の3つの起動型能力と、起動コストが(1)のP/T修整能力を持つ、多相の戦士クリーチャー

元祖はウルザズ・サーガの変異種。次元の混乱で炎異種が登場したのを皮切りに各色で登場し、モダンホライゾンの終異種によって遂にサイクル完成となった。サイクル完成までの21年は、「力/Force」サイクルの16年を上回る記録である(参考/翻訳

ストーリー

変異種/Morphlingは変身能力を持つ生き物。イラストではトレイリア/Tolariaアカデミー/Academyの魔術師に変身している。向かって左側、羽と尻尾がある方が変異種である。

短編True Enough(The Monsters of Magic収録)は変異種が登場する物語。

その他

  • 通称「青い悪魔」。豊富な青マナとともに、しばしば対戦相手を絶望させてきたものである。
  • 時の最強プレイヤーJon Finkelは変異種で多くの成績を挙げたが、世代交代の象徴とも言うべきプロツアーニューオーリンズ01初日最終戦Kai Budde戦では、変異種による1本勝利の後、Kaiのサイドボードから変形投入された変異種によって2連敗で敗北。まさに守護神が悪魔に代わった瞬間であった。Kaiはその大会の決勝でも伝説として語り継がれる「最終ドローで変異種トップデッキ」で大逆転優勝を決めるなど、変異種と共に数々の栄光を掴んだ。
    • 日本人でも小宮忠義石田格堂山剛志など多くのスタープレイヤーが変異種により栄光を勝ち取っている。これらの変異種によるあまりにも劇的な活躍は、変異種が史上最強クリーチャーの1つに数えられる理由でもある。
  • これが登場した当初はスタックルール導入前だったために、このカードはそこまで注目されておらず、全盛期のような高い評価ではなかった。
  • 当初、ウルザズ・サーガにはクローン/Clone再録される予定があり、変異種のイラストは本来クローンのイラストとして発注されていたものである(このイラストはクローンのイラストに基づいて描かれている)。しかし開発終盤でクローンの再録が見送られることになり、「イラストにふさわしく、なおかつコピーを使わない多相の戦士」という制約で新たなカードをデザインする必要があった。最初は何の芸も無い状態で戦場に出て、後から能力を追加したりサイズを変えることのできる「望む姿に変身できるクリーチャー」というアイデアのもと、変異種が作られた[1]

脚注

  1. Modern Times/モダン・タイムスMaking Magic 2019年6月10日 Mark Rosewater著)

参考

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