アーキタイプ
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アーキタイプ(Archetype)とは、原型、雛形の意。転じてマジックにおいては、デッキのコンセプトや動きを加味した“根本の構成”のことを指す。
意味がデッキタイプと似通っているが、こちらの方がより固定的または根幹的な意味合いが強い。例えばビートダウンといえばその中には白単色の白ウィニーも赤緑のステロイドも含まれるし、コントロールといえば青白コントロールも黒コントロールも含まれる。言い換えれば、コントロールというアーキタイプの中に青白コントロールや黒コントロールといった様々なデッキタイプが存在する、といったところか。
アーキタイプの分類・相性は絶対的なものではなく、分類には諸説があるし、また相性についても、デッキの組み方やメタゲームによってはコントロールに強いコンボデッキ、コンボの完成速度を上回る圧倒的速さで粉砕するビートダウンなど、強弱が逆転することも少なくない。 それでもアーキタイプを分類するメリットとしては、プレイヤーにおいては新たな環境におけるデッキ構築の指標としたり、原則的な相性関係を把握してメタゲームを素早く攻略することに寄与する点などが挙げられる。またはデベロップに対しても、大きな洞察力を与えメタゲームのバランスを保つことに寄与している。
アーキタイプの用法は近年多様化してきており、より広い意味で用いられることも多くなってきている。特にリミテッドやスタンダードなどのカードプールが狭いフォーマットにおいて、特定の機能やメカニズムを持つカード群をかき集めた、“勝ちに行けるデッキレシピ”に非常に近い意味で用いられることも多い(#リミテッド)。この用法は当wikiや公式サイトのイベントカバレージなどでもまま見られる。
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主な分類
開発部による分類
2012年の公式記事Zero to Sixty/ゼロからのデッキ構築とAh Yes. Very Standard./まさしくスタンダードだにおいて、6つのアーキタイプによる分類が示された。
- アグロ:最序盤から軽い脅威を展開し、速やかに対戦相手を倒す。
- ミッドレンジ:3~6マナ域の脅威を攻防に回して戦う。マナ加速を伴うこともある。
- ランプ:序盤はマナ加速を連打し、そこから少数の重い脅威を展開する。
- コンボ:特定のカードの組み合わせなど、変わった戦略で勝利を目指す。
- コントロール:対戦相手の脅威を妨害し続け、最後には少数の脅威でゲームを終わらせる。
- 撹乱的アグロ:脅威を展開し、それに対する除去と対戦相手の脅威を、カウンターなどで妨害しながら戦う。
この6つには以下の相性関係が成立する。特にスタンダードでは、「アグロ」「ミッドレンジ」「コンボとランプ」「コントロールと撹乱的アグロ」がそれぞれメタゲームの1/4ずつを占めるのが理想とされている。
- アグロは、遅いコントロールに強く、またクリーチャーの量と質で勝るため撹乱的アグロに強い。
- コントロールと撹乱的アグロは、少数の遅い脅威を妨害できることからコンボとランプに強い。
- コンボとランプは、速度も妨害手段も不足しているミッドレンジに強い。
- ミッドレンジは、クリーチャー戦において1体1体の性能差で分があるためアグロに強い。
3大アーキタイプ
過去には長い間、主にビートダウン・コントロール・コンボデッキの3タイプに分類されてきた。この分類にもそれぞれ得意な相手と苦手な相手が存在する。レガシーのメタの一巡として挙げられる。
- ビートダウンは、妨害される前に優位に立てるためコントロールに強い。
- コントロールは、コンボパーツを狙い撃ちできるためコンボデッキに強い。
- コンボデッキは、コンボパーツ対策が少ないビートダウンに強い。
Floresによる分類
Mike Floresいわく[1]、マジックのアーキタイプとして挙げられるのは以下の9つであり、新たに作られるデッキもこの9つのアーキタイプのうちのどれかに属する。
- カウンタースリヴァーに代表されるクロック・パーミッション
- ストームネクロに代表されるドローとマナ効率を追求したデッキ
- プリズンに代表されるボードコントロールを追求したコントロール
- スライに代表されるマナカーブ理論を追求した火力・クリーチャー併用型のビートダウン
- ストンピィに代表されるクリーチャーを主体としたウィニー
- The Deckに代表されるカード・アドバンテージを追求したコントロール
- ジャンクに代表される汎用性の高いグッドスタッフ
- ティンカーに代表されるマナ加速とマナ・コストを無視するカード(修繕/Tinkerなど)を主体としたデッキ
- ネクロ・ドネイトに代表される瞬殺コンボデッキ
リミテッド
近年、各カードセットのリミテッド(特にドラフト)環境ではセット内のグループ(2色の色の組み合わせであることが多い)ごとに共通のテーマが存在し、そのテーマに沿ったピックを行うとシナジーに満ちたデッキとなる傾向がある。このテーマのことを(ドラフト・)アーキタイプと呼び、これに沿ったドラフトをアーキタイプ・ドラフトと呼ぶ[2]。これが好評を博してデファクトスタンダードになったことに伴い、過去のセットで行われていた所謂点数表ドラフトは廃れてきている。
テーロス以降、各2色アーキタイプを分かりやすく示すアンコモンの2色カード10枚サイクルが多くのセットで定番となっている。ドラフトで色を決定するための「錨」になるだけでなく、ピック方針が掴み切れない初心者プレイヤーに道を示す役割も果たしている[3]。
2色の組み合わせに設定されるアーキタイプの例として以下のようなものがあり、いずれも複数のセットで採用されている。それぞれの色の役割を組み合わせたものであるためラヴニカ/Ravnicaのギルド/Guildと近いものがあるが、セット毎の全体テーマとの兼ね合いもあり実際には多種多様。
- 白青 - 飛行
- 青黒 - 墓地
- 黒赤 - 生け贄
- 赤緑 - 土地
- 緑白 - +1/+1カウンター
- 白黒 - ライフ
- 青赤 - インスタントとソーサリー
- 黒緑 - 墓地
- 赤白 - ウィニー
- 緑青 - 瞬速
脚注
- ↑ Finding the Tinker Deck(Internet Archive)/Tinkerデッキへの探究(WotC、文:Mike Flores)
- ↑ 基本セット2013 ドラフト分析編?アーキタイプ・新基準? (渡辺雄也の「リミテッドのススメ」 2012年8月3日 渡辺雄也著)
- ↑ リミテッドでの色のペア・パート1(Latest Developments -デベロップ最先端- 2013年10月7日 Sam Stoddard著/益山拓也・米村薫訳)