ゼロックス

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'''ゼロックス'''(''Xerox'')とは、[[Alan Comer]]によって生み出された理論。'''ゼロックス理論'''とも呼ばれる。"xerox"はコピーという意味。
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'''ゼロックス'''(''Xerox'')とは、[[Alan Comer]]によって生み出された理論。'''ゼロックス理論'''とも呼ばれる。"xerox"はコピー機メーカー、転じてコピーするという意味でも使われるようになった語。
  
簡単に説明すると、「[[土地]]を[[引く]]確率を減らす分、引くこと自体の回数を増やすことで[[土地事故]]は減らせる」ということに着目し、土地の枚数を削ると共に[[引く|ドロー]][[カード]]を詰め込み、それによって[[デッキ]]の安定とともに中盤以降の「無駄なドロー」をなくすことができるというもの。ドロー[[呪文|スペル]]により擬似的に[[ライブラリー]]の総枚数を減らし、デッキの一様性を高める戦術である。1,2[[マナ]]のドローもしくは[[キャントリップ]]を2枚入れれば[[土地]]を1枚減らしてもよい、というのが大体の目安。
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Comerの主張によると、「[[土地]]を[[引く]]確率を減らす分、引くこと自体の回数を増やすことで[[土地事故]]は減らせる」ということに着目し、土地の枚数を削ると共に[[引く|ドロー]][[カード]]を詰め込み、それによって[[デッキ]]の安定とともに中盤以降の「無駄なドロー」をなくすことができるというもの。ドロー[[呪文]]により擬似的に[[ライブラリー]]の総枚数を減らし、デッキの一様性を高める([[無作為に|ランダム]]性を低減する)戦術である。1〜2[[マナ]]のドローもしくは[[キャントリップ]]を2枚入れれば土地を1枚減らしてもよい、とされる理論。
  
しかし、いくら土地を減らしてもよいとはいっても、減らしすぎると土地事故でドロースペルを[[唱える]]こともできなくなるので本末転倒である。極論になってしまうが、1,2マナのドローを48枚入れたからといって、土地が0枚でよいわけがない。あくまで必要最低限の土地しか引かないことで、擬似的な[[カード・アドバンテージ]]を得るための構築技術であることに留意しておきたい。
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しかしながら、単なる1枚ドロー呪文では1枚分の[[デッキ圧縮]]にしかならず、[[マナスクリュー]]・[[マナフラッド]]を防ぐ効果はごくわずかである([[フェッチランド]]の項も参照)。[[キャントリップ]]を唱えるために[[テンポ]]を損する、[[キープ]]基準が難しくなるデメリットと、デッキに数合わせで弱いカードを入れずに済む、枚数の限られた強いカードへのアクセスが早くなるメリットとのトレードオフになるが、下記のような特別な[[シナジー]]がなければデメリットの方が大きい。
  
これを具体化したデッキが[[ターボ・ゼロックス]]であり、他にも[[ミラクルグロウ]][[オプトブルー]]などで採用されている。その他の[[コントロール (デッキ)|コントロール]]でも応用されている事も多い。
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Comerがゼロックス理論を用いて構築した[[パーミッション]]デッキが安定して動作した理由は、圧縮効果ではなく[[先触れ/Portent]][[衝動/Impulse]]等の複数枚の中から選択できる類のカードが多数使われていたことによるものと考えられる。ただし、数値的には間違いであることが証明されてもゼロックスという発想の評価は高く、Alan Comerの名と共に今日でも語られ続けている。
  
*マナを大量に使うコントロールの場合、土地の総数が少ないことから、展開できる土地の数が少なく、必要な時にマナが無いということが往々にしてある。
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元々理論のスタートは[[手札]]の質向上による[[アドバンテージ]]であったが、軽量ドローを連打する特性上、呪文を唱える回数や[[墓地]]の増加に優れるため、[[スレッショルド]]や[[ミラクルグロウ]]、[[サイクリング]]系デッキの基盤としても活用された。デッキ圧縮効果の推算には問題があったゼロックス理論だが、キャントリップを唱えることが直接勝ちに繋がるデッキとの相性は良く、土地を切り詰める枚数の目安として用いられた。
*序盤の猛攻を捌くためにマナを使うと、ドローができず、対抗手段を使うマナまでたどり着けず、という悪循環に陥ることもある。
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*序盤の猛攻を捌くためにマナを使うと、カードを引けず、対抗手段を使う[[マナ]]までたどり着けず、という悪循環に陥ることもある。
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**Comerの青単パーミッションはこの欠点を当時最強のテンポカード[[意志の力/Force of Will]]で克服していた。
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*数学的には、「2枚入れれば土地を1枚減らせる」というのは60枚中土地30枚の場合に限った話であり、土地24枚の場合は「5枚入れれば土地を2枚減らせる」としないといけない。
  
 
==主なゼロックスデッキ==
 
==主なゼロックスデッキ==
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*[[8Man]]
 
*[[8Man]]
 
*[[青緑スレッショルド]]
 
*[[青緑スレッショルド]]
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**[[Canadian Threshold]]
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**[[Team America]]
 
*[[ウィー=ゼロックス]]
 
*[[ウィー=ゼロックス]]
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*[[Delver-Go]]
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**[[Delver-Blade]]
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**[[スピリット (デッキ)#ミラディンの傷跡ブロック+イニストラード・ブロック期|Delver-Spirits]]
  
 
==参考==
 
==参考==
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*[http://web.archive.org/web/20111123025529/http://mtg.takaratomy.co.jp/others/column/asahara/20081231/index.html 浅原・小室の匣の中のマジック]([[マナカーブ]]とゼロックスの解説記事)
 
*[[用語集]]
 
*[[用語集]]

2020年9月28日 (月) 10:57時点における最新版

ゼロックス(Xerox)とは、Alan Comerによって生み出された理論。ゼロックス理論とも呼ばれる。"xerox"はコピー機メーカー、転じてコピーするという意味でも使われるようになった語。

Comerの主張によると、「土地引く確率を減らす分、引くこと自体の回数を増やすことで土地事故は減らせる」ということに着目し、土地の枚数を削ると共にドローカードを詰め込み、それによってデッキの安定とともに中盤以降の「無駄なドロー」をなくすことができるというもの。ドロー呪文により擬似的にライブラリーの総枚数を減らし、デッキの一様性を高める(ランダム性を低減する)戦術である。1〜2マナのドローもしくはキャントリップを2枚入れれば土地を1枚減らしてもよい、とされる理論。

しかしながら、単なる1枚ドロー呪文では1枚分のデッキ圧縮にしかならず、マナスクリューマナフラッドを防ぐ効果はごくわずかである(フェッチランドの項も参照)。キャントリップを唱えるためにテンポを損する、キープ基準が難しくなるデメリットと、デッキに数合わせで弱いカードを入れずに済む、枚数の限られた強いカードへのアクセスが早くなるメリットとのトレードオフになるが、下記のような特別なシナジーがなければデメリットの方が大きい。

Comerがゼロックス理論を用いて構築したパーミッションデッキが安定して動作した理由は、圧縮効果ではなく先触れ/Portent衝動/Impulse等の複数枚の中から選択できる類のカードが多数使われていたことによるものと考えられる。ただし、数値的には間違いであることが証明されてもゼロックスという発想の評価は高く、Alan Comerの名と共に今日でも語られ続けている。

元々理論のスタートは手札の質向上によるアドバンテージであったが、軽量ドローを連打する特性上、呪文を唱える回数や墓地の増加に優れるため、スレッショルドミラクルグロウサイクリング系デッキの基盤としても活用された。デッキ圧縮効果の推算には問題があったゼロックス理論だが、キャントリップを唱えることが直接勝ちに繋がるデッキとの相性は良く、土地を切り詰める枚数の目安として用いられた。

  • 序盤の猛攻を捌くためにマナを使うと、カードを引けず、対抗手段を使うマナまでたどり着けず、という悪循環に陥ることもある。
    • Comerの青単パーミッションはこの欠点を当時最強のテンポカード意志の力/Force of Willで克服していた。
  • 数学的には、「2枚入れれば土地を1枚減らせる」というのは60枚中土地30枚の場合に限った話であり、土地24枚の場合は「5枚入れれば土地を2枚減らせる」としないといけない。

[編集] 主なゼロックスデッキ

[編集] 参考

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