エルドレイン/Eldraine

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エルドレイン/Eldraineは、多元宇宙/Multiverseに存在する次元/Planeの一つ。エルドレインの王権エルドレインの森の舞台となった。

目次

世界観

騎士道とおとぎ話の次元/Plane人間/Humanが住まう秩序の領域、王国/The Realmと、危険な野生と魔の領域、僻境/The Wilds、そしてその両者の間に広がる境界地/The Boundary Landsから成る。

王国/The Realm

多元宇宙/Multiverseには多くの美しい眺めや、絵画のような田舎の風景が存在するが、エルドレインの王国ほど静穏な場所は滅多にない。王国での生活の日々のほとんどは簡素で落ち着いており、ここを故郷と呼ぶ者たち――ほとんどが人間――は、そのような生き方を好んでいる。

しかしながら、王国は単に寛げる保養地というだけではない。美徳ある者なら誰でも、自らの価値を証明して栄光の座に至ることのできる大舞台でもあるのだ。王国での偉業は富、尊敬、地位という形で報われる。不可思議な旅人を怪しむ住人もいるかもしれないが、別の世界からの訪問者でさえ、望むなら高貴なる地位に就くこともできる。

王国の大部分は小さな集落と農地だが、この地を統べるのは五つの宮廷――すなわち、アーデンベイル/Ardenvaleヴァントレス/Vantressロークスワイン/Locthwainエンバレス/Emberethギャレンブリグ/Garenbrigだ。これらの宮廷は領域の民を支え、守り、民の基本的な美徳を維持している。五つの宮廷はほとんど独立した州のようなものだが、崇高の玉座/The High Throneの統治の下で一つの王国としてまとまっている。宮廷は、競技の場では激しい対抗心を抱くかもしれないが、他の宮廷と大っぴらに対立することは滅多になく、公然と戦争をしたことは一度もない。

新ファイレクシア/New Phyrexiaの侵攻により、王国は壊滅的な打撃を受けた。

歴史

人間の隆盛以前には、エルフが後の王国となる地を統べていた。人間曰く、彼らは高慢で尊大、虚栄心が強く残忍で、あらゆる不道徳な魔法を野放図に使用していた。自分の身を守れないほど弱い者は膝をついて庇護を求めるべき、それが彼らの言い分だった。また伝説によれば、古の時代、森には果てがなく、その自然の木々は見渡すかぎりに広がっていた。八世代か九世代前、人間が力をつけ、エルフを追放して王国を築き上げた。森そのものがエルフとともに後退し、何世紀も前から知られているエルドレインの姿、すなわち王国と僻境という分断を生み出した。

遺物

宮廷の中枢を成す五つの遺物は、古の時代のエルフの宝であり、いくつかはエルフの魔法によって作られた可能性さえある。遺物は驚異的で神秘的な物体であり、測り知れない魔法の力と、定命の者の理解を超えた知覚を有している。確かなのは、五つの遺物それぞれが五つの美徳のうちの一つの物理的体現であり、個人の内にあるその美徳を判断する力を持っているということだ。王国では、遺物の美徳(およびその審判)は客観的で議論の余地がないものと見なされており、この絶対確実性こそが王国社会全体を構築するものである。

美徳

王国での生活は、五つの基本的な美徳を中心としている――すなわち、忠誠/Loyalty知識/Knowledge執念/Persistence勇気/Courage強さ/Strengthだ。王国の住人はすべて、騎士であれ貴族であれ農民であれ、日々の暮らしの中でこれらの美徳を維持しようと励む。王国の者が誰かを称賛したり侮辱したりしたい場合には、いずれかの美徳に従って生きられているかいないかを引き合いに出すことが多い。

五つの美徳は五つの遺物によって確立されており、そのため絶対的な敬意と権威をもって扱われる。王国の住人は、すべての美徳を励むべき理想と見なしているが、必ずしも平等にではない。当然、各宮廷は自らの遺物に関する美徳が最も重要なものであると信じている。とはいえ、その美徳が他のものの代わりになるわけではない。エンバレスの騎士は他のどの美徳よりも勇気を称えるだろうが、忠誠や知識に欠ける者を見下すことには変わりない。

騎士

王国では、騎士号は個人が受けることのできる最高の栄誉の一つだ。騎士は勇者、英雄、美徳の模範として尊敬される。王国の騎士は皆、「/Syr」の敬称を付けて呼ばれる。彼らは無辜の民を守ることから、僻境での大胆な冒険に赴くことまで、多くの責任を負っている。騎士はしばしば精巧に作られた鎧と武器を装備し、様々な種と大きさの立派な乗騎に跨り、時にはそれぞれの宮廷の遺物から引き出される強力な魔法を振るう。

いずれかの宮廷で騎士号を獲得することは、その宮廷の美徳に卓越していると証明するための探索を行うことを意味する。いくつかの宮廷では、真の騎士になるための最後の工程は、その宮廷の遺物の審判を受けることである。

崇高の玉座/The High Throne

おおよそ一世代に一度、探索する獣/Questing Beastと呼ばれる神秘的な生物が傑出した騎士を選び、至高の探索/The High Questあるいは大探索/The Great Questと呼ばれる厳しい試練を課す。王国を統べる崇高の玉座/The High Throneに就くための試練を。崇高の玉座を求める者は、王国最高の地位に値する美徳を備えていることを証明するため、五つの宮廷すべてで騎士号を獲得しなければならない。

過去五十年で、至高の探索を課されたのは二人――アルジェナス/Algenusリンデン/Lindenだけだ。リンデンは途中、何らかの理由でこれを断念したが、アルジェナスはこれを達成し、崇王/High Kingの座に就いた。

宮廷

アーデンベイル/Ardenvale

の宮廷。「忠誠」を最も重要な美徳とする。紋章は円環状の炎。

崇王アルジェナス・ケンリス/Algenus Kenrithは王国全体の統治者であると同時に、アーデンベイルの統治者でもある。その妃たる女王リンデン・ケンリス/Linden Kenrithもまた、アルジェナスとともにアーデンベイルを統治している。

アーデンベイル城/Castle Ardenvaleの中央塔には忠誠の円環/The Circle of Loyaltyがある。騎士になるためには、銀炎でできたこの円環をくぐらなければならない。真の忠誠を持つ者だけが無傷で通り抜けることができる。

詳細はアーデンベイル/Ardenvaleを参照。

ヴァントレス/Vantress

の宮廷。「知識」を最も重要な美徳とする。紋章は鍵穴。人間の大魔道士、ガドウィック/Gadwickが実質的な統治者となっている。

メア湖/Lochmereの水上に建てられたヴァントレス城/Castle Vantressの遥か下方には、魔法の鏡/The Magic Mirrorインドレロン/Indrelonが置かれている。インドレロンから騎士号や何らかの知識を得るためには、対価としてその鏡が知らない秘密を教えなければならない。

詳細はヴァントレス/Vantressを参照。

ロークスワイン/Locthwain

の宮廷。「執念」を最も重要な美徳とする。紋章はゴブレット。エルフの女王、アヤーラ/Ayaraが統治している。

生者に永遠の若さを与え死者をも蘇らせるという遺物、永遠の大釜/The Cauldron of Eternityを所有していたが、今は失われている。大釜を失って以来、ロークスワイン城/Castle Locthwainは宙に浮いたままとなっている。この遺物を求めて探索に赴き、命を落とす騎士は後を絶たない。

詳細はロークスワイン/Locthwainを参照。

エンバレス/Embereth

の宮廷。「勇気」を最も重要な美徳とする。紋章は菱形と三本の槍。評議会が統治している。

真の名を燃焦苑/The Burning Yardという複合競技場、エンバレス城/Castle Emberethには王国中から闘士が集まる。宮廷の遺物は赤熱する巨石アイレンクラッグ/The Irencragで、エンバレスの宝剣/Embercleaveはそれが名を授けた剣の一つ。

詳細はエンバレス/Emberethを参照。

ギャレンブリグ/Garenbrig

の宮廷。「強さ」を最も重要な美徳とする。紋章は槌。巨人の王、ヨルヴォ/Yorvoが統治している。

ギャレンブリグ城/Castle Garenbrigの主要な部分を占めるのは、人間の隆盛以前の時代に巨人によって築かれた環状列石、グレートヘンジ/The Great Hengeだ。これは巨大な日時計であり、特定の日付の特定の時間には、僻境の深奥へと繋がる魔法の門と化す。

詳細はギャレンブリグ/Garenbrigを参照。

王国のその他の地名

王国の辺境にはオリンシャー/Orrinshireという村が存在しており、村民の5倍ほどの羊が飼われている。旅の商人が訪れる日が祝日になるほどの辺鄙な土地であり、それゆえ新ファイレクシアの侵略も受けなかった。

境界地/The Boundary Lands

王国の城と魔法に満ちた僻境は突然切り替わるわけではなく、その間に境界地と呼ばれる中間の地域が存在する。そこには絵画のように美しい森や牧草地、岩だらけの断崖絶壁、霧に覆われた湖が広大に広がっている。

境界地にはいくつかの居住地が点在し、山羊などを飼育している。起伏のある野原にはこれら家畜が放牧されているが、時折襲ってくる飢えたグリフィンからそれらを守る必要がある。

エッジウォール/Edgewall

文明と僻境の境界線に最も近い村、それがエッジウォールだ。肉屋やパン屋に狩人、放浪の騎士や妖精狩りまで様々な人間/Humanがこの地にはいる。それだけではなく、ドワーフ/Dwarfの商人、人間とエルフ/Elfの友人がハグをする様子、そのほか神出鬼没な僻境の生物も目撃することができるだろう。エッジウォールの曲がりくねった通りや小径は密集しており、境界地のより広大な地域のようにあなたを惑わせるかもしれない。

エッジウォールの建造物の多くは人間によるものだが、明らかに僻境のフェイ属/The fair folkにより作られたものも散在している。屋根の先端が尖っているものや、ツリーハウスは比較的珍しい。村の最古の建造物のいくつかはドワーフの居住地として作られたと言われている――そのうちの一つの遺跡は地下深くまで続いているとも。

  • エッジウォールの名前については、エルドレインの王権時点ではエッジウォールの亭主/Edgewall Innkeeperのフレイバー・テキストでエッジウォール砦/Edgewall Keepと表記されていた。しかしワールドガイド展示資料ではKeep無しの表記であり、エルドレインの森のストーリー記事およびフレイバー・テキストでも同様のためそちらに従った。

僻境/The Wilds

奇妙な法則と野生が広がり、フェイ属/The fair folkと呼ばれる魔法生物が跋扈する恐るべき世界。

詳細は僻境/The Wildsを参照。

その他の地理

王国・境界地・僻境のどこに属するかが明言されていないものをこの節にまとめる(ほとんどは境界地~僻境のいずれかと思われる)。ABC順。

カーヴェリン/Caervelin

カーヴェリンはエルフによって建設され、謎めいたヴァントレスの魔道士により占領・修復された古代の塔だ。十年に一度、この地に住まう魔道士は境界地から新たな弟子を選び鍛えている。高き塔の内部には無数の蔵書があり、中には弟子が読むことを禁じられた秘術の本も存在する。

複雑な魔法が使用人や衛兵の代わりとして塔を管理する手助けとなるが、経験豊富な魔道士でなければそれらを適切に機能させることはできない。塔の上部には、魔道士にすらたどり着けない秘密の階層があると噂されている。

デルヴァーホウ/Delverhaugh

山中にあるドワーフの都市の中でも、特に変わっているものがデルヴァーホウだ。多くの都市のドワーフ達は工業に精を出しているが、この地の住民は新ファイレクシアの侵攻後に大きく生き方を変えた。すなわち、歓楽者としての道だ。今や石の広間には金槌やツルハシの音よりも、祝いの音楽が鳴り響いている。古代の鍛冶場も今や鉄を鍛えるためではなく、宴会の食べ物を焼くために用いられている。

都市の外の勤勉な住民は、この変化に混乱と違和感を覚えている。しかし当の本人たちはまるで気にしておらず、明日の食い扶持よりも今を楽しむことを重視している。彼らの技巧は新たな生き方にも役立っており、クリスタルや切子硝子などを会場の飾りに用いている。

彼らのパーティは開かれるたびに豪華さを増していき、その全てがエルドレインで誰も見たような最大の祝祭大餐会/Grand Ballへと繋がっている。

ラレント湖/Loch Larent

エッジウォールから徒歩で一週間ほどの距離にあるラレント湖は、マーフォーク/Merfolkが暮らし、エッジウォールの住民が釣りに出ることもある場所だ。

かつてはこの場所は氷などとは無縁の地であった。しかしファイレクシア戦争の終結後、魔女/Witchヒルダ/Hyldaが城を築くため、冠の力を用いてこの地を雪と氷に閉ざした。マーフォークは凍結の影響を免れるためより深みへと潜り、中には暗く冷たい気候に適応した形態へ変化する者もいた。

  • 公式のストーリー記事では「ラレント湖」、カードでは「ローラン湖」と翻訳揺れが生じている。

ストームケルド/Stormkeld

僻境のはるか上空に浮かぶ島々、それがストームケルドである。ストーム・ジャイアント/Storm Giantと呼ばれる青肌の巨人が暮らす地であり、彼らの砦・塔・小屋などが点在しているが、いずれもベルーナ・グランドスコール/Beluna Grandsquallの住まう城雷落とし/Thunderousからは一定の距離を取っている。

僻境に根を張り雲の上へと伸びる永久の木/Everstalkesは、地上とストームケルドを結ぶ数少ない道である。何本もの巨大な豆の木のツタが、さながら有害な雑草やブラックベリーの茂みのように無秩序に拡大している。これらは地上の小屋や小さな城を包み込んでしまうこともある。時には断崖絶壁に橋を架けたり、洞窟の奥深くまで入り込んだりすることもある。

ストームケルドの野生動物は地上とは異なる進化を遂げており、雲や豆の木のような特徴を持つものが多い。中には地上の生物を巨大にしたようなものも存在する。

絡み架かり/Tanglespan

新ファイレクシアの侵攻に対し、エルドレインの民は巨大な裂け目を開き、侵略者を中に閉じ込めようとした[1]。しかし戦争終結後も裂け目は閉じず、今やその場所を渡るには絡み架かりと呼ばれる橋や豆の木のネットワークを通らねばならなくなった。

絡み架かりを旅人が通るようになると、トロール/Trollは彼らを手頃な獲物として狙うようになった。かつて近辺の森に住んでいたフォーン/Faunはこの橋を管理・維持すると共に、旅人をトロールの脅威から守るために戦っている。

葬儀人の曲がり角/Undertaker's Corner

ロークスワインへの街道において、特に危険とされる場所がこの「葬儀人の曲がり角」と呼ばれる崖だ。数百フィート(1フィート≒30センチ)の眼下にはのどかな農場が広がっているが、その直前で道は急に右折し、谷へジグザグに下る。数多くの荷馬車がスピードの出し過ぎで曲がり切れず、崖から転落していった。

種族

文明的な種族
  • 人間/Human - 人型種族の一つ。ほとんどは王国の民だが、僻境の邪術師魔女/Witchもいる。
  • エルフ/Elf - 森の種族。かつて人間に追放され、今は僻境に住まう。ドルイドの評議会を擁する。
  • 巨人/Giant - 大柄な種族。一部の者は他種族に対して優しく、ギャレンブリグの騎士となる。上空に住まうものも存在する。
  • ドワーフ/Dwarf - 小柄な種族。鉱石を採掘して武器や装身具を作り、時に人間と商売を行う。
  • マーフォーク/Merfolk - 水棲種族。好奇心旺盛で、魔法の鏡があるメア湖に棲む。Undine(ウンディーネ)とも。
  • フェアリー/Faerie - 空飛ぶ妖精。泥棒や悪戯好きに加え、気まぐれに人間を助ける者もいる。フェイ/Faeとも。
  • レッドキャップ/Redcap - 血染めのゴブリン。不意打ちのような卑怯な戦略に長け、人間から略奪を行う。
  • フォーン/Faun - ヤギの獣人のようなサテュロス。元は隠遁者だったが、近年は人間に協力している。
その他の種族
  • アルコン/Archon - 有翼の鹿に騎乗した神々しい人型生物。王国と僻境の境を飛ぶとされる。
  • スペクター/Specter - 禍々しいクリーチャーに騎乗した人型生物。実は乗られている怪物が死体を操って騎手にしている。
  • ホラー/Horror - 恐るべき怪物。甘歯村のお菓子な化け物もこれに該当する。
  • リッチの騎士/Lich-Knight - 僻境を彷徨うアンデッド。ダンバロウに彼らの城があると噂されている。
  • ナイトメア/Nightmare - アショクの創造物。ファイレクシア人に似せて作られたものも多い。
  • ドラゴン/Dragon - 長い尾を持つ知的な有翼種族。性格は多種多様だが、宝や金属類を求める傾向にある。
  • オーガ/Ogre - 巨体の邪悪な人型種族。その恨みは非常に根深いことで知られている。
  • 魔女跡追い/Witchstalker - 大型の狼。闇の魔術に反応して襲い掛かる。
  • トロール/Troll - 肉食の愚鈍な人型種族。絡み架かりではフォーンと対立している。
  • アウフ/Ouphe - 僻境に住む緑の体毛を持った生物。見た目とは裏腹に、自然界に造詣が深い。

キャラクター

プレインズウォーカー/Planeswalker
エルドレインの住人
  • 妖精

登場

登場作品・登場記事

エルドレインの王権
機械兵団の進軍
エルドレインの森

脚注

  1. March of the Machine | Eldraine: The Adventures of Rankle, Master of Love/サイドストーリー・エルドレイン編 愛の達人、ランクルの冒険で開かれたものと同類と思われる

参考

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