マスティコア/Masticore

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[[ウルザ・ブロック]]当時の[[スタンダード]]で大暴れした[[アーティファクト・クリーチャー]]。同環境の[[変異種/Morphling]]と並び「最強の[[クリーチャー]]」などと謳われた。
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[[ウルザ・ブロック]]当時の[[スタンダード]]で大暴れした[[アーティファクト・クリーチャー]]。同環境の[[変異種/Morphling]]と並び「最強の[[クリーチャー]]」と謳われた。
  
 
==解説==
 
==解説==
[[アップキープ]][[手札]]を1枚捨てるというデメリットはあるものの、結果的に4[[マナ]][[アーティファクト・クリーチャー]]とは思えない[[コスト・パフォーマンス]]になっている。毎[[ターン]]カードを捨てるというディス[[アドバンテージ]]は決して小さくは無く、実際これを場に出してしまうと[[手札]]の数が増えなくなるので、[[土地]]や[[呪文]]の[[プレイ]]が大きく制限されてしまう。そのため、これを場に出した後はこの[[カード]]を中心に戦わざるを得なくなるのだが、[[除去]][[能力]]によりその分[[アドバンテージ]]を取り返せることや、[[戦闘]]や[[火力]]に強い[[再生]][[能力]]、[[フィニッシャー]]としての運用にも耐えうる[[サイズ]]などから、他の[[カード]]が必要ない程に強力であった。
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[[アップキープ・コスト]]が課せられているが、[[マナ・コスト]]4[[マナ]]で4/4の[[サイズ]]に、[[再生]]とクリーチャー[[除去]]の2種類の[[能力]]を持ち、総合的にアーティファクト・クリーチャーとしては非常に高い[[コスト・パフォーマンス]]を誇る。
  
[[無色]][[ダメージ]]ソースであると言う点も強さを後押しする。当時は[[プロテクション]]([[アーティファクト]])を持つ[[クリーチャー]]は数える程しかいなかった(そして、それらのいずれも[[トーナメント]]レベルの[[カード]]ではなかった)。また[[クリーチャー・タイプ]]に対する[[プロテクション]]も登場する前だったため(そもそも当時はマスティコアは[[クリーチャー・タイプ]]を持っていなかったが)、[[プロテクション]]に阻害されない[[ダメージ]]としての信頼性が高かった。
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[[マナレシオ]]の面から見ると、このマナ域にしては[[]]を選ばない[[アーティファクト]]にも拘らず、[[]]を除く4色と比べても高い水準に位置する。そして4/4は対クリーチャー戦でも十分に渡り合える大きさであり、更に再生によって[[戦闘]]での生存力を向上させているだけでなく、[[火力]]への耐性も有している。
  
[[ストンピィ]]から[[青茶単]]まであらゆるほとんどの[[デッキ]]に投入され猛威を振るったが、これ自身の強さに加え周りの[[カード]]に恵まれたという点もある。[[ストンピィ]]のような超高速ビートダウンにおいては普通4[[マナ]]+αスタートのカードは遅すぎる。しかし、同ブロックには[[ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle]]という強烈な[[マナ加速]]があったため、これにつぎ込む[[マナ]]を容易にひねり出す事ができた。[[青茶単]]のような[[パーミッション]][[デッキ]]は[[手札]]枚数の保持は重要であるため、[[手札]]を[[捨てる]]デメリットはことさら重いのだが、これまた同[[ブロック]]に[[天才のひらめき/Stroke of Genius]]という優秀な[[ドロー]][[カード]]があったため、[[手札]]の問題を解決する事が可能だった。
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クリーチャー除去能力は、2マナを1点[[ダメージ]]に変換する能力。マナを費やせばこれ1体で複数のクリーチャーを除去でき、[[アドバンテージ]]を生む。また、[[アンタッチャブル]][[破壊されない]]クリーチャーには無力とはいえ、[[無色]]のダメージ源であるため[[プロテクション]]には引っかかりにくい利点がある(これに対応しているプロテクション―例えば対アーティファクトや対クリーチャーなど―で[[トーナメント]]レベルのものはまずない)。多くのマナを喰う除去能力であるが、[[環境]]には極めて優れたマナ生産手段があった(後述)。
  
このように「最強」の名を欲しいままにしたマスティコアであるが、手放しで4枚積み出来ると言う訳ではなかった。場に出すタイミングを間違えると、そのデメリットに自分が飲み込まれてしまい、勝機を逃してしまうという事も多かったのだ。[[ダメージ]]を与える[[能力]]は対[[クリーチャー]]限定のものであるため、相手が[[ノンクリーチャー]]デッキであった場合はその[[能力]]は役立たずとなる。その場合、単なる4[[マナ]]4/4[[再生]]では「[[アップキープ]]毎に[[手札]]1枚」のデメリットは流石に重過ぎる。腐っても4/4なのでそのまま殴りきる事も可能だが、流石にそう言う状況が頻発するような環境であるならば、最初から他の[[クリーチャー]]を使ったほうがマシと言える。その為、環境によっては[[サイドボード]]からの投入に留まっている場合もある。
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アップキープ・コストのデメリットは侮れない。毎[[ターン]]カードを1枚失うので手札のカード総数は増えなくなり、[[土地]][[呪文]][[プレイ]]が大きく制限されてしまう。そのため、[[召喚]]した後はこれ中心に戦わざるを得なくなるのだが、上述の通り他のカードが必要ない程に強力であった。
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*手札が増やしづらくなること、維持に手札が必要なことから、[[手札破壊]]に弱い。[[]]はアーティファクト・クリーチャーへの対処が苦手であったが、手札を攻める事で間接的に対処ができた。
  
現在では[[エターナル]]でしか使えないが、全盛期ほどの活躍は見せていない。当時と比べて[[クリーチャー]]の質が上昇していることもあり、デメリットがある分、睨み合いになると不利になる事が多くなったためである。また、速度に特化した[[デッキ]]に対しては、[[マナ]]が多く必要なこれでは追いつかない事も多く、それ程の支配力を持っているわけではない。それでも、中盤を乗り切った後、[[マナ]]に余裕が出てからの制圧能力は健在で、[[サイドボード]]からの投入はそれなりにあるようだ。ただし、[[茶単]]等の[[ビートダウン]]では、1[[マナ]]重い代わりに[[マナ]]を食わない亜種である[[剃刀毛のマスティコア/Razormane Masticore]]が採用される事も多い。
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[[ストンピィ]]から[[青茶単]]まで殆どあらゆる[[デッキ]]に投入され猛威を振るったが、これ自身のカードパワーはもとより環境にも恵まれていたことが挙げられる。
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*ストンピィのような超高速[[ビートダウン]]において普通4マナのカードは遅すぎるのだが、同ブロックには強烈な[[マナ加速]][[ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle]]あった。また、除去能力の支払いも容易となるだけでなく、これは揺籃の地の余剰マナ処理にも充てることができる。
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*青茶単のような[[パーミッション]]デッキでは、手札枚数の保持が重要であるため手札を捨てるデメリットは殊更きついのだが、同ブロックには優秀な[[ドロー]]カード、[[天才のひらめき/Stroke of Genius]]が存在した。
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*[[ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob]]は維持コストを帳消しにできる。この2枚は同環境に存在していた事もあり、特に使いやすかった。
  
*本来これは開発チームがこの種のデメリットが、どの程度[[クリーチャー]][[コスト・パフォーマンス]]に影響を与えるのか知るための実験的な[[カード]]であった。実験結果は見ての通りである。
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しかし、パワーカードとはいえ手放しで4枚積みして良いというものでもなかった。上記のアップキープ・コストにより、場に出すタイミングを計る[[プレイヤー]]の技量が問われるカードであるとともに、[[ノンクリーチャー]]デッキの多い環境では実質「デメリットつきの4マナ4/4再生」に過ぎず別のクリーチャーの方が有効であるからだ。したがって、環境によっては[[サイドボード]]からの投入に留まっている場合もある。
  
==利用==
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現在では[[エターナル]]でしか使えないが、全盛期ほどの活躍は見せていない。当時と比べてクリーチャーの質が上がっていることもあり、デメリットがある分、睨み合いになると不利になる事が多くなったためである。また、速度に特化したデッキに対しては、マナが多く必要なこれでは追いつかない事も多く、それ程の支配力を持っているわけではない。それでも、中盤を乗り切った後、マナに余裕が出てからの制圧能力は健在で、サイドボードからの投入はそれなりにあるようだ。ただし、[[茶単]]等のビートダウンでは、1マナ重い代わりにマナを食わない亜種である[[剃刀毛のマスティコア/Razormane Masticore]]が採用される事も多い。
*[[ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob]]を使えば維持コストを帳消しにできる。この2枚は同環境に存在していた事もあり、特に使いやすかった。
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*[[手札]]が増やしづらくなること、維持に[[手札]]が必要な事から、[[手札破壊]]に弱い。[[黒]]は[[アーティファクト・クリーチャー]]への対処が苦手であったが、[[手札]]を攻める事で間接的に対処が出来た。
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*本来これは開発チームがこの種のデメリットが、どの程度クリーチャーの[[コスト・パフォーマンス]]に影響を与えるのか知るための実験的なカードであった。実験結果は見ての通りである。
 
==ルール==
 
==ルール==
*前述の通り、[[カード]]を捨てるのは[[アップキープ・ステップ]]であり、[[ドロー・ステップ]]より前である。[[ドロー・ステップ]]で引いたカードを、維持コストに充てるといった使い方はできない。
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*[[カード]]を捨てるのは[[アップキープ・ステップ]]であり、[[ドロー・ステップ]]より前である。ドロー・ステップで引いたカードを、維持コストに充てるといった使い方はできない。
**また、いつもの癖で、[[カード]]を捨てる前に[[ライブラリー]]から[[カード]]を引いてしまった場合、その時点で「[[カード]]を捨てない事(生け贄に捧げる事)を選んだ」と見なされる事がある。特に、当時のカジュアルでその手のトラブルが多発していた。
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**また、カードを捨てる前に[[ライブラリー]]から引いてしまった場合、その時点で「カードを捨てない事(生け贄に捧げる事)を選んだ」と見なされることがある。特に、当時のカジュアルでその手のトラブルが多発していた。
 
*[[2007年9月サブタイプ変更]]により[[マスティコア]]の[[クリーチャー・タイプ]]を獲得。
 
*[[2007年9月サブタイプ変更]]により[[マスティコア]]の[[クリーチャー・タイプ]]を獲得。
 
 
==その他==
 
==その他==
 
*「manticore([[マンティコア]])」と「masticate(噛み砕く)」の合成語。
 
*「manticore([[マンティコア]])」と「masticate(噛み砕く)」の合成語。
*間違っても、マジック最悪のカードではない(→[http://members.at.infoseek.co.jp/braingeyser/04/0217.html#01 参照])。この記事はマスティコアが[[スタンダード]]を去った数年後に書かれたジョーク。恐らくこれは、発売当初は一見厳しく見えるデメリットを嫌われてか[[カスレア]]扱いされていたためであろう。
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*[[綿密な分析/Deep Analysis]]({{Gatherer|Deep Analysis}})や[[Remodel]]({{Gatherer|Remodel}})のカードにも描かれている。綿密な分析が登場した際には、似たようなカードが次に出るのではないかと期待する意見も出た([[再録禁止カード]]であるため直接の復活はありえない)。
*[[綿密な分析/Deep Analysis]][[Remodel]]のイラストにも登場している。[[綿密な分析/Deep Analysis]]に描かれた時は、似たようなカードが次に出るのではないかと期待された([[再録禁止カード]]であったため、直接の復活はありえなかった)。
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*{{日本語画像|Masticore~UDS|イラスト}}では口にくわえているミサイルが途中で折れているが、[[デュエリスト・ジャパン]]Vol.11では完全につながっている絵を見ることができる。[[Mark Rosewater]]と[[Jamie Wakefield]]によるこのカードに対するコラム([[時のらせん/Time Spiral]]、[[変異種/Morphling]]とともに、予想以上に[[環境]]を支配した事による失敗)も載っている。
*{{日本語画像|Masticore~UDS|イラスト}}では口にくわえているミサイルが途中で折れているが、[[デュエリスト・ジャパン]]Vol.11では完全につながっている絵を見ることができる。[[Mark Rosewater]]と[[Jamie Wakefield]]によるこのカードに対するコラム([[時のらせん/Time Spiral]]、[[変異種/Morphling]]とともに、予想以上に[[環境]]を支配した事による失敗)も載っているので、興味のある人は探してみよう。
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*コミックでも登場。[[デュエル・マスターズ]]では「超凶獣クリーチャー」と呼ばれ来月号への引きに使われた他、主人公を圧倒さえした。一方[[デュエルファイター刃]]では手札のない状態で召喚されてしまうお笑い登場となった。
*[[デュエル・マスターズ]]では超凶獣クリーチャーと呼ばれ、来月号への引きに使われたり主人公を圧倒したりした。一方[[デュエルファイター刃]]では手札のない状態で召喚してしまうお笑い登場となった。
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*マスティコアがスタンダードを去った数年後に、マジック最悪のカードであると冗談交じりに紹介されたことがある([http://members.at.infoseek.co.jp/braingeyser/04/0217.html#01 参照])。
 
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==参考==
 
==参考==
 
*[http://members.at.infoseek.co.jp/braingeyser/04/0217.html#01 18,000 Words: The 100 Worst Magic Cards of All Time] (ニセ)第1位(Braingeyser)
 
*[http://members.at.infoseek.co.jp/braingeyser/04/0217.html#01 18,000 Words: The 100 Worst Magic Cards of All Time] (ニセ)第1位(Braingeyser)
 
*[http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/feature/253 The Top 50 Artifacts of All Time] 第9位([[WotC]]、文:[[Zvi Mowshowitz]]、英語)
 
*[http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/feature/253 The Top 50 Artifacts of All Time] 第9位([[WotC]]、文:[[Zvi Mowshowitz]]、英語)
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*[[再録禁止カード一覧]]([[再録禁止カード]])
 
*[[カード個別評価:ウルザズ・デスティニー]] - [[レア]]
 
*[[カード個別評価:ウルザズ・デスティニー]] - [[レア]]

2008年5月6日 (火) 13:40時点における版


Masticore / マスティコア (4)
アーティファクト クリーチャー — マスティコア(Masticore)

あなたのアップキープの開始時に、あなたがカードを1枚捨てないかぎり、マスティコアを生け贄に捧げる。
(2):クリーチャー1体を対象とする。マスティコアはそれに1点のダメージを与える。
(2):マスティコアを再生する。

4/4

ウルザ・ブロック当時のスタンダードで大暴れしたアーティファクト・クリーチャー。同環境の変異種/Morphlingと並び「最強のクリーチャー」と謳われた。

目次

解説

アップキープ・コストが課せられているが、マナ・コスト4マナで4/4のサイズに、再生とクリーチャー除去の2種類の能力を持ち、総合的にアーティファクト・クリーチャーとしては非常に高いコスト・パフォーマンスを誇る。

マナレシオの面から見ると、このマナ域にしてはを選ばないアーティファクトにも拘らず、を除く4色と比べても高い水準に位置する。そして4/4は対クリーチャー戦でも十分に渡り合える大きさであり、更に再生によって戦闘での生存力を向上させているだけでなく、火力への耐性も有している。

クリーチャー除去能力は、2マナを1点ダメージに変換する能力。マナを費やせばこれ1体で複数のクリーチャーを除去でき、アドバンテージを生む。また、アンタッチャブル破壊されないクリーチャーには無力とはいえ、無色のダメージ源であるためプロテクションには引っかかりにくい利点がある(これに対応しているプロテクション―例えば対アーティファクトや対クリーチャーなど―でトーナメントレベルのものはまずない)。多くのマナを喰う除去能力であるが、環境には極めて優れたマナ生産手段があった(後述)。

アップキープ・コストのデメリットは侮れない。毎ターンカードを1枚失うので手札のカード総数は増えなくなり、土地呪文プレイが大きく制限されてしまう。そのため、召喚した後はこれ中心に戦わざるを得なくなるのだが、上述の通り他のカードが必要ない程に強力であった。

  • 手札が増やしづらくなること、維持に手札が必要なことから、手札破壊に弱い。はアーティファクト・クリーチャーへの対処が苦手であったが、手札を攻める事で間接的に対処ができた。

ストンピィから青茶単まで殆どあらゆるデッキに投入され猛威を振るったが、これ自身のカードパワーはもとより環境にも恵まれていたことが挙げられる。

しかし、パワーカードとはいえ手放しで4枚積みして良いというものでもなかった。上記のアップキープ・コストにより、場に出すタイミングを計るプレイヤーの技量が問われるカードであるとともに、ノンクリーチャーデッキの多い環境では実質「デメリットつきの4マナ4/4再生」に過ぎず別のクリーチャーの方が有効であるからだ。したがって、環境によってはサイドボードからの投入に留まっている場合もある。

現在ではエターナルでしか使えないが、全盛期ほどの活躍は見せていない。当時と比べてクリーチャーの質が上がっていることもあり、デメリットがある分、睨み合いになると不利になる事が多くなったためである。また、速度に特化したデッキに対しては、マナが多く必要なこれでは追いつかない事も多く、それ程の支配力を持っているわけではない。それでも、中盤を乗り切った後、マナに余裕が出てからの制圧能力は健在で、サイドボードからの投入はそれなりにあるようだ。ただし、茶単等のビートダウンでは、1マナ重い代わりにマナを食わない亜種である剃刀毛のマスティコア/Razormane Masticoreが採用される事も多い。

  • 本来これは開発チームがこの種のデメリットが、どの程度クリーチャーのコスト・パフォーマンスに影響を与えるのか知るための実験的なカードであった。実験結果は見ての通りである。

ルール

その他

参考

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