部族 (俗称)

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'''部族'''(''Tribe'')とは、[[クリーチャー・タイプ]]をいう俗称。もしくはクリーチャー・タイプを重視した[[デッキ]]やシステムのこと。後者の場合は「部族デッキ」「部族システム」と言う場合が多い。
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'''部族'''/''Tribe''とは、[[クリーチャー・タイプ]]をいう俗称。もしくはクリーチャー・タイプを重視した[[デッキ]]やメカニズムのこと。後者の場合は「部族デッキ」「部族メカニズム」と言う場合が多い。
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[[開発部]]内でも使用されていた用語だが、今日での「部族」という単語が持つイメージなどの理由から廃語となり、'''タイプ的'''/''Typal''という呼称に置き換えられている。<ref>[https://magic.wizards.com/en/news/making-magic/lessons-learned-part-4 Lessons Learned, Part 4]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0037009/ 得られた教訓 その4]([[Making Magic]] [[2023年]]6月19日 [[Mark Rosewater]]著)</ref><ref>[https://twitter.com/maro254/status/1673154339010146305 @maro254]([[Mark Rosewater]]のTwitter [[2023年]]6月25日)</ref>
  
 
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部族システムを初めて各[[色]]に体系立てて採用した[[エキスパンション]]が[[フォールン・エンパイア]]である。その後、[[ホームランド]]、[[オンスロート・ブロック]]、[[神河ブロック]]、[[ローウィン・ブロック]]、[[イニストラード・ブロック]]などで推奨されている。特にオンスロート・ブロックとローウィン・ブロックは部族デッキを組むように強調してデザインされた[[ブロック (総称)|ブロック]]である。
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部族メカニズムを初めて各[[色]]に体系立てて採用した[[エキスパンション]]が[[フォールン・エンパイア]]である。その後、[[ホームランド]]、[[オンスロート・ブロック]]、[[神河ブロック]]、[[ローウィン・ブロック]]、[[イニストラード・ブロック]]、[[イニストラードを覆う影ブロック]]、[[イクサラン・ブロック]]などで推奨されている。特にオンスロート・ブロックとローウィン・ブロックは部族デッキを組むように強調してデザインされた[[ブロック (総称)|ブロック]]である。
  
もっとも、[[アルファ]]時代からいくつかの[[ロード (俗称)|ロード]]([[ゴブリンの王/Goblin King]]など)を筆頭にした部族デッキはあったし、こと[[ゴブリン]]については[[ザ・ダーク]]で関連カードが多く作られている。長い歴史を持つ、由緒正しいシステムだといえる。
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もっとも、[[リミテッド・エディション]]時代からいくつかの[[ロード (俗称)|ロード]]([[ゴブリンの王/Goblin King]]など)を筆頭にした部族デッキはあったし、こと[[ゴブリン]]については[[ザ・ダーク]]で関連カードが多く作られている。長い歴史を持つ、由緒正しいメカニズムといえる。
  
[[オンスロート・ブロック]]には[[兵士]][[ウィザード]][[ゾンビ]][[ゴブリン]]、[[エルフ]]などに強力な[[部族カード]]が多数収録された。当時、開発部は多様な部族[[ウィニー]]やウィザード・[[コントロール (デッキ)|コントロール]]が大活躍すると思っていたらしいが、その予定は[[サイクリングバーン]]の誕生で大きく狂ってしまった。とはいえ完全に失敗したというわけでは無く、[[リミテッド]]ではある程度狙い通りに部族間対立を作ることに成功した。また[[構築]]でも、ほぼ全ての[[環境]]で大活躍している[[ゴブリン (デッキ)|ゴブリンデッキ]]を筆頭に、[[エルフ (デッキ)|エルフデッキ]]、[[ゾンビ (デッキ)|ゾンビデッキ]]、[[クレリック (デッキ)|クレリックデッキ]]などは戦果を残している。
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*数こそ少ないが、特定の部族に強いカード([[ドワーフ兵士/Dwarven Soldier]]など)や、特定の部族に弱いカード([[フラーグのゴブリン/Goblins of the Flarg]]など)は存在する。
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*同一の部族を[[コスト]]とするカードは多々あるが、特定の部族をコストとすることで効果を強化するカードもある([[スラル]][[Soul Exchange]]、[[苗木]][[雑食のサリッド/Thallid Omnivore]]など)。
  
[[神河ブロック]]では、[[スピリット]](神)とそれ以外の部族との二極対立がテーマになり、スピリットを利用する、または逆に対抗するというカードが多く作られ、これによって種族がスピリットか否かということが非常に大きな意味を持つことになった。また当時の[[スタンダード]]および[[神河ブロック構築]]ではウィザードデッキである[[呪師コントロール]]が高い安定性を見せ、活躍している。
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==[[エキスパンション]]ごとの特色==
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;[[オンスロート・ブロック]]
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:オンスロート・ブロックでは[[兵士]][[ウィザード]][[ゾンビ]]、[[ゴブリン]]、[[エルフ]]などに強力な[[部族カード]]が多数収録された。当時、[[開発部]]は多様な部族[[ウィニー]]やウィザード・[[コントロール (デッキ)|コントロール]]が大活躍すると思っていたらしいが、その予定は[[サイクリングバーン]]の誕生で大きく狂ってしまった。とはいえ完全に失敗したというわけでは無く、[[リミテッド]]ではある程度狙い通りに部族間対立を作ることに成功した。また[[構築]]でも、ほぼ全ての[[環境]]で大活躍している[[ゴブリン (デッキ)|ゴブリンデッキ]]を筆頭に、[[エルフ (デッキ)|エルフデッキ]]、[[ゾンビ (デッキ)|ゾンビデッキ]]、[[クレリック (デッキ)|クレリックデッキ]]などを生み出し、戦果を残している。
  
[[ローウィン・ブロック]]では、[[ローウィン]]では[[種族]]([[キスキン]]、[[フェアリー]]、[[マーフォーク]][[ゴブリン]][[エルフ]][[巨人]][[ツリーフォーク]][[エレメンタル]])に、[[モーニングタイド]]では[[職業]]([[ならず者]]、[[シャーマン]]、[[兵士]]、[[戦士]]、[[ウィザード]])に、それぞれ焦点があてられた。そのデザインの徹底ぶりは、種族間の関係性を優先して、従来の[[色]]の関係性([[友好色]]/[[対抗色]]、5色のバランスなど)を一部で崩しているほど。
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;[[神河ブロック]]、[[エルドレインの王権]]、[[イコリア:巨獣の棲処]]
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:神河ブロックでは、[[スピリット]](神/''Kami'')とそれ以外の部族との二極対立がテーマになり、スピリットを利用する、または逆に対抗するというカードが多く作られ、これによって種族がスピリットか否かということが非常に大きな意味を持つことになった。これは後の[[エルドレインの王権]][[イコリア:巨獣の棲処]]における、種族が[[人間]]か否かの部族対立構造セット・デザインへと継承されていく。<!--また当時の[[スタンダード]]および[[神河ブロック構築]]ではウィザードデッキである[[呪師コントロール]]が高い安定性を見せ、活躍した。-->
  
[[イニストラード・ブロック]]では、大テーマである「ホラー」を表現するためのサブテーマとして用いられ、モンスターの代表格である[[吸血鬼]][[狼男]][[ゾンビ]][[スピリット]]と、それらの犠牲となる[[人間]]の5つが取り上げられた。特に人間を部族として強調するのは初の試みである。
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;[[ローウィン・ブロック]]
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:[[ローウィン]]では[[種族]][[キスキン]][[フェアリー]][[マーフォーク]]、[[ゴブリン]]、[[エルフ]]、[[巨人]]、[[ツリーフォーク]]、[[エレメンタル]])に、[[モーニングタイド]]では[[職業]]([[ならず者]]、[[シャーマン]]、[[兵士]]、[[戦士]]、[[ウィザード]])に、それぞれ焦点があてられた。そのデザインの徹底ぶりは、種族間の関係性を優先して、従来の[[色]]の関係性([[友好色]]/[[対抗色]]、5色のバランスなど)を一部で崩した上、全てのクリーチャー・タイプを内包する[[多相]]という[[キーワード能力]]を誕生させたほどである。
  
*数こそ少ないが、スピリット以外でも特定の部族に強いカード([[ドワーフ兵士/Dwarven Soldier]]など)や、特定の部族に弱いカード([[フラーグのゴブリン/Goblins of the Flarg]]など)は存在する。
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;[[イニストラード・ブロック]][[イニストラードを覆う影ブロック]]、[[イニストラード:真夜中の狩り]]、[[イニストラード:真紅の契り]]
*同一の部族を[[コスト]]とするカードは多々あるが、特定の部族をコストとすることで効果を強化するソーサリーやエンチャントもある([[スラル]][[Tourach's Gate]]および[[Soul Exchange]]など)。
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[[イニストラード/Innistrad]]を舞台とした歴代セットでは、大テーマである「ゴシック・ホラー」を表現するためのサブテーマとして用いられ、夜の怪物の代表格である[[吸血鬼]]・[[狼男]]・[[ゾンビ]]・[[スピリット]]と、それらの犠牲となる[[人間]]の5つが取り上げられた。特に人間を部族として強調するのは初の試みであった。
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;[[イクサラン・ブロック]]
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:イクサラン・ブロックでは[[海賊]][[恐竜]]、[[吸血鬼]]、[[マーフォーク]]の4部族の対立に焦点が当てられている。従来の部族推奨セットと比べて種族数が絞られており、しかもそれぞれが2~3色に跨って存在しているのが特徴。そのため、特にリミテッドで特定の部族デッキを成立させるのが容易になっている。
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;[[ゼンディカーの夜明け]]
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[[ゼンディカー・ブロック]]および[[戦乱のゼンディカー・ブロック]]では部族要素はさほど大きなウェイトを占めていなかったものの、[[同盟者]]と[[エルドラージ]]の戦いを描く要素として用いられていた。[[ゼンディカーの夜明け]]に入ると、その同盟者要素は[[戦士]]、[[ウィザード]]、[[クレリック]]、[[ならず者]]の4職業タイプを包括する[[パーティー]]という大概念を形成する、独特の部族テーマへと発展した。[[天使]]や[[デーモン]]などの、通常は職業タイプを持たないクリーチャーにも職業タイプが割り振られている事が多いセットである事も特徴。
  
 
==参考==
 
==参考==
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<references/>
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*[[:Category:部族デッキ|カテゴリ:部族デッキ]]
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*[[ロード (俗称)|ロード]] - 特定のクリーチャー・タイプのクリーチャーを[[修整]]強化する[[常在型能力]]を持つクリーチャーの呼称
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**[[共同の功績/Shared Triumph]] - ロード以外で特定のクリーチャー・タイプのクリーチャーを修整強化するカードのリスト
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*[[血統詐称者/Bloodline Pretender]] - 特定のクリーチャー・タイプのクリーチャーが唱えられたり戦場に出たりするたび自身が[[パンプアップ]]するクリーチャーのリスト
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*[[霊気の突進/Aether Charge]] - 特定のクリーチャー・タイプのクリーチャーが唱えられたり戦場に出たりするたび[[火力]]を飛ばすカードのリスト
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*[[群集の咆哮/Roar of the Crowd]] - 特定のクリーチャー・タイプのクリーチャー数を参照した火力カードのリスト
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*[[ワイアウッドの養虫人/Wirewood Hivemaster]] - 特定のクリーチャー・タイプのクリーチャーが唱えられたり戦場に出たりするたび[[トークン]]を[[生成]]するカードのリスト
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*[[種の専門家/Species Specialist]] - 特定のクリーチャー・タイプのクリーチャーが死亡するたび[[ドロー]]するカードのリスト
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*[[奸謀/Conspiracy]] - 望むクリーチャー・タイプを付与できるカードのリスト
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*[[クリーチャー・タイプを変更するカード]]
 
*[http://web.archive.org/web/20091003042519/http://mtg.takaratomy.co.jp/others/column/asahara/20071015/index.html トライバル・セカンドインパクト]([[タカラトミー]]、文:[[浅原晃]])
 
*[http://web.archive.org/web/20091003042519/http://mtg.takaratomy.co.jp/others/column/asahara/20071015/index.html トライバル・セカンドインパクト]([[タカラトミー]]、文:[[浅原晃]])
 
*[[部族カード]]
 
*[[部族カード]]
 
*[[部族カード一覧]]
 
*[[部族カード一覧]]
*[[ウィニー]]
 
 
*[[用語集]]
 
*[[用語集]]

2023年6月27日 (火) 01:28時点における版

部族/Tribeとは、クリーチャー・タイプをいう俗称。もしくはクリーチャー・タイプを重視したデッキやメカニズムのこと。後者の場合は「部族デッキ」「部族メカニズム」と言う場合が多い。

開発部内でも使用されていた用語だが、今日での「部族」という単語が持つイメージなどの理由から廃語となり、タイプ的/Typalという呼称に置き換えられている。[1][2]


Elvish Champion / エルフのチャンピオン (1)(緑)(緑)
クリーチャー — エルフ(Elf)

他のエルフ(Elf)・クリーチャーは+1/+1の修整を受けるとともに、森渡りを持つ。(それらは、防御プレイヤーが森(Forest)をコントロールしているかぎりブロックされない。)

2/2


Cruel Revival / 残酷な蘇生 (4)(黒)
インスタント

ゾンビ(Zombie)でないクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それは再生できない。あなたの墓地にあるゾンビ・カードを最大1枚まで対象とし、それをあなたの手札に戻す。


部族メカニズムを初めて各に体系立てて採用したエキスパンションフォールン・エンパイアである。その後、ホームランドオンスロート・ブロック神河ブロックローウィン・ブロックイニストラード・ブロックイニストラードを覆う影ブロックイクサラン・ブロックなどで推奨されている。特にオンスロート・ブロックとローウィン・ブロックは部族デッキを組むように強調してデザインされたブロックである。

もっとも、リミテッド・エディション時代からいくつかのロードゴブリンの王/Goblin Kingなど)を筆頭にした部族デッキはあったし、ことゴブリンについてはザ・ダークで関連カードが多く作られている。長い歴史を持つ、由緒正しいメカニズムといえる。

エキスパンションごとの特色

オンスロート・ブロック
オンスロート・ブロックでは兵士ウィザードゾンビゴブリンエルフなどに強力な部族カードが多数収録された。当時、開発部は多様な部族ウィニーやウィザード・コントロールが大活躍すると思っていたらしいが、その予定はサイクリングバーンの誕生で大きく狂ってしまった。とはいえ完全に失敗したというわけでは無く、リミテッドではある程度狙い通りに部族間対立を作ることに成功した。また構築でも、ほぼ全ての環境で大活躍しているゴブリンデッキを筆頭に、エルフデッキゾンビデッキクレリックデッキなどを生み出し、戦果を残している。
神河ブロックエルドレインの王権イコリア:巨獣の棲処
神河ブロックでは、スピリット(神/Kami)とそれ以外の部族との二極対立がテーマになり、スピリットを利用する、または逆に対抗するというカードが多く作られ、これによって種族がスピリットか否かということが非常に大きな意味を持つことになった。これは後のエルドレインの王権イコリア:巨獣の棲処における、種族が人間か否かの部族対立構造セット・デザインへと継承されていく。
ローウィン・ブロック
ローウィンでは種族キスキンフェアリーマーフォークゴブリンエルフ巨人ツリーフォークエレメンタル)に、モーニングタイドでは職業ならず者シャーマン兵士戦士ウィザード)に、それぞれ焦点があてられた。そのデザインの徹底ぶりは、種族間の関係性を優先して、従来のの関係性(友好色/対抗色、5色のバランスなど)を一部で崩した上、全てのクリーチャー・タイプを内包する多相というキーワード能力を誕生させたほどである。
イニストラード・ブロックイニストラードを覆う影ブロックイニストラード:真夜中の狩りイニストラード:真紅の契り

イニストラード/Innistradを舞台とした歴代セットでは、大テーマである「ゴシック・ホラー」を表現するためのサブテーマとして用いられ、夜の怪物の代表格である吸血鬼狼男ゾンビスピリットと、それらの犠牲となる人間の5つが取り上げられた。特に人間を部族として強調するのは初の試みであった。

イクサラン・ブロック
イクサラン・ブロックでは海賊恐竜吸血鬼マーフォークの4部族の対立に焦点が当てられている。従来の部族推奨セットと比べて種族数が絞られており、しかもそれぞれが2~3色に跨って存在しているのが特徴。そのため、特にリミテッドで特定の部族デッキを成立させるのが容易になっている。
ゼンディカーの夜明け

ゼンディカー・ブロックおよび戦乱のゼンディカー・ブロックでは部族要素はさほど大きなウェイトを占めていなかったものの、同盟者エルドラージの戦いを描く要素として用いられていた。ゼンディカーの夜明けに入ると、その同盟者要素は戦士ウィザードクレリックならず者の4職業タイプを包括するパーティーという大概念を形成する、独特の部族テーマへと発展した。天使デーモンなどの、通常は職業タイプを持たないクリーチャーにも職業タイプが割り振られている事が多いセットである事も特徴。

参考

  1. Lessons Learned, Part 4/得られた教訓 その4Making Magic 2023年6月19日 Mark Rosewater著)
  2. @maro254Mark RosewaterのTwitter 2023年6月25日)
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